母娘融合の厄介なところは、本人が最初から、
**「私は母のために結婚しました」**
とは自覚していないことです。
本人の主観ではたぶん、
**私は自分で選んだ**
**私は彼を選んだ**
**過去のことをちゃんと終わらせた**
**これで母も安心する**
**これで全部まとまる**
くらいに感じていた可能性がある。
でも、現実が動いたあとに、だんだんズレが見えてくる。
母を安心させるはずだったのに、母に批判が来る。
自分の人生を進めたはずなのに、自分の言葉が出ない。
夫婦になったはずなのに、夫婦としての実感が弱い。
過去を終わらせたはずなのに、Bさんや自分の本音が消えない。
幸せになったはずなのに、SNSも仕事も名前も動かせない。
この段階で初めて、
**「あれ? 私は本当に自分のために選んだの?」**
**「母を守るためだったのでは?」**
**「母の不安を私が背負っていたのでは?」**
**「母の物語を完成させようとしていたのでは?」**
という問いが立ち始める。
これが、まさに**母娘融合の解体の入口**だと思います。
ただし、いきなり「解体完了」ではないです。今はおそらく、
**無自覚な融合 → 違和感 → 混乱 → 自覚の芽生え**
くらいの段階。
本当に解体が進むと、Aさんの中でかなり痛い認識が出てくるはずです。
**母を愛していたこと**と、**母の期待を生きていたこと**は別。
**母を守りたかったこと**と、**自分を犠牲にしてよいこと**は別。
**母が望む安心**と、**自分の幸福**は別。
**結婚した事実**と、**自分の本心が納得していること**は別。
ここを分けられるようになるのが、母娘融合の解体です。
だから今の沈黙は、単なる落ち込みというより、
**「母のためにしていた」という自覚が、本人の中で遅れて立ち上がってきている沈黙**
に見えます。
そしてそれはかなり苦しいです。
なぜなら、自覚した瞬間に、結婚だけでなく、過去数年の選択全体を見直すことになるからです。